ロンドンではPedal Meという、電動カーゴバイクを使用した自転車便が活躍している。
上掲の画像を見てほしい。業務用のバンと同程度か、またはそれ以上の荷物を自転車に積載している。Pedal Meの特徴はひと目で分かるように、大型の電動カーゴバイクを使用している点にある。これが何十台も集まって、組織的にロンドンの荷物を運搬しているのである。荷物だけではなく、その大きさを活かして人を運ぶことができる。つまり自転車タクシーとしての機能も持っている。
Webとアプリを使ったサービスの下回りが、しっかりしていることも特徴である。これに関しては日本ではサービス展開していないため、残念ながら実際に使って確かめることはできていない。自転車タクシー事業については、YouTubeなどで動画を見る限り、ユーザの体験としてはUberに似ているようだ。実際にUberとの競合や優位点については議論されていて、Financial Timesは下記のような検証動画を作成している。科学的な検証とは言えないが、動画として面白く、サービスの内容が理解しやすい。
現在 (2019年11月) は45名の社員と42台の自転車を保有しており、ロンドン中心部の5マイル圏内のみでサービスを稼働している。今後の展開として規模の拡大を検討中で、人員と設備の増強を計画。クラウドファンディングでは既に 150,000ポンド(約1,986万円)の目標に対し、352,580ポンド(4,669万円)調達している1) https://www.crowdcube.com/companies/pedal-me/pitches/bP9R0q 。
自転車はオランダのメーカー、Urban Arrowの電動カーゴバイクを使用している。人を載せた場合は大人2人、または子供5人を運ぶことができる。同社いわく、「フォークリフトを必要としない殆どの荷物を運べる容量」とされている。
ロンドンにはこのようなサービスと関連する、行政的な取り組みがある。市は2019年4月8日に超低排出ゾーン規制(ULEZ)を施行しており、内燃機関の自動車に1日単位での課税を行っている。 他にもビジネスに自転車を導入することに対する支援制度がある2) https://energysavingtrust.org.uk/transport/freight-and-retrofit/ecargo-bike-grant-fund 3) https://www.teamlondonbridge.co.uk/bikesforbusiness 。これについてはPedal Meが現時点で利用しているかは確認ができていないが、いずれにしても昨今のロンドンはカーゴバイクによる運送業を稼働する上での、経済的な動機が発生する環境にある。先行する事例として今後のロンドンと自転車便の活躍を追っていきたい。
References