即席の自転車道のイメージ

新型コロナ対策の自転車走行空間整備を求めるオンライン署名キャンペーンが開始

新型コロナウイルスの流行を受け、世界の都市で自転車や徒歩での移動のために道路空間を再配分する緊急施策が進んでいる。日本ではこれまでのところ同様の動きは出ていないが、これを求める民間のオンライン署名キャンペーンが5月30日に立ち上げられた。

【コロナ対策】3密を避けて自転車で安全に移動できるよう、即席の走行空間を作ってください!

要望の主旨は、自転車や徒歩で移動する人が互いに距離を保つことができ、また事故に遭う心配もしなくてよい空間を行政が作ることだ。具体的には、即席の自転車道を整備すること、生活道路を車が通り抜けないようにすること、車道上に駐輪設備を設けることの三点。

パリの例。「緊急の整備だが、迅速なだけでなくよくできていて半恒久的」と紹介されている。

外出制限が緩和された際、感染リスク要因とみなされている公共交通の代わりにどんな移動手段が多く選ばれるかは、政治・行政の事前の方向付けによるところが大きい。自家用車が増えてしまえば、自転車や徒歩での移動のために割り当てられたであろう道路空間は失われ、車利用が社会にもたらす種々の負担は新型コロナ以前よりもずっと重くなってしまうおそれがある。このため、パリやロンドンなど世界のいくつもの都市は早いところで3月頃から緊急の空間再配分施策を行っており、International Transport Forum(国際交通フォーラム)もこうした交通政策を中長期目標にリンクさせて実施することを推奨する短報(PDF)を5月の頭に出している。

英マンチェスター地域の歩行・自転車担当長官を務めるクリス・ボードマン氏のメッセージ

本オンライン署名キャンペーンの呼びかけ主体はサイクリング・エンバシー・オブ・ジャパン。外国出身の自転車利用者やツーリストへの情報提供を主な目的として立ち上げられた東京が拠点のグループで、これまでには自転車と都市に関する映画の上映や海外の自転車政策関係者のアテンドなども行ってきた(筆者もメンバーで、このキャンペーンにも関わっている)。