自転車をパックラフトに積む練習 (Bikerafting)

Bikeraftingというらしいんだけど、海外のBikepackerたちがパックラフトを自転車に積んでいるのをよく見る。筆者もこれを実際にやってみた。

といっても筆者はそもそもパックラフトをやったことがない。いきなり本格的なバイクパッキングに組み込む勇気はなく、まずはデモライドとして、浜名湖を何kmか漕いで適当なところで上陸して沿岸を走って車に戻るという簡単なルートを組んでみた。もちろんそんなことがやりたかったわけではない。今後のより大きな計画への練習で、まずはやってみて課題を洗い出してみるのが目的だ。

分かったこと

パックラフトに自転車を積むのは簡単

輪行と似ていて、難しいことを考える必要はなかった。要は紐で縛れば十分に固定できる。パックラフト本体に荷物を止めるためのナイロンの紐がついているので、それを利用してVoile Strapで簡単に止めることができた。4本使ったけど、2本付けた時点で十分固定されているように感じた。

自転車にパックラフトを積むのは難しい

今回はMSRのPontoとMicroraftという2つのモデルをレンタルして試した。パックラフトのことはまだ分からないが、自分が比較可能なテントやストーブなど他の製品でのMSRのポジションを考えると、パフォーマンス・価格・耐久性のバランスが、無難な塩梅の設計思想なんだろうとは思う。今回使ったのはMSRとしては一人用の小型のモデルだ。しかし、それでも大きすぎてフラットバーじゃないと自転車に載せるのは無理だった。

MSRではないが、さらに小型のモデルだとドロップハンドルのブラケットの間に収まるらしい。ただそれでもパドルとライフジャケットは課題として残りそうだ。

MTBの場合、パドルをフレームに合わせると奇跡的にシンデレラフィットした。

カメラとの相性が悪い

これは自転車関係なくパックラフトそのものの欠点だけど、乗りながらでも何となくカメラが使えている自転車と比べると、カメラと合わせるのは相当難しそうな感触だった。今回はカメラを使うことを完全に諦め、本稿の写真もすべてiPhoneで撮影されている。

まず実際にやったからこその気付きとして、想像よりずっと激しくカメラに水しぶきがかかるので、かなり気を遣うことが分かった。

そうでなくてもパックラフトを漕いでいる間はパドルをずっと持っているので、カメラを構えるなら手を完全に離す必要がある。パドルから手を話すと推進力は完全になくなるが、何もしないと水に流されて、パックラフトが進んだり回転するので、写真を撮るにはかなり不利な条件になる。

今回の練習のためにTRAILSなんかで予習してきたが、確かにカメラ持ってる人は見てない気がする。その理由が扱いづらいからだとしたら、今となって考えれば納得の理由である。

パックラフトの使い所

浜名湖を適当に漕いで自転車で戻ってくるという今回のルートは、完全に練習のためだけであって、もちろんパックラフトを使う理由はまったくない。しかし実際にパックラフトをバイクパッキングに導入するなら、何か必然性が欲しい。考えてみればここが一番難しく、センスが要求されるポイントになりそうだ。バイクパッキングも同じで、車やバイクじゃなくて、あえて自転車で行く意義のあるルートが美しいと思う (もちろんそうでなくでも自転車は楽しい)。

例えば自転車が入れない場所にパックラフトを使うことで到達するのであれば、パックラフトを使う意味が出てきそうだ。具体的には知床半島のようような道が通っていない場所や無人島だ。

見方を変えてパックラフト側の都合を考えると、自転車を積む意味は簡単に見いだせるかもしれない。パックラフトをメインに据えつつ、自転車を陸地のアプローチとして利用するというのは、Bikeraftingの十分なモチベーションになると思っている。

と、色々思うことはあるんだけど、そもそもパックラフト自体の経験が少ないので、まずは遊びながら勘を身に着けていかないといけないなと考えている。