北海道グラベルツーリング2021

数年ぶりに北海道を自転車ツーリングしてきたので写真をまとめる。

グラベル

北海道は加須美峠函岳線のような有名大規模グラベルがいくつかある。が、今回はどちらかと言うと地味な細かいグラベルを回ってみた。ルートも載せているの北海道ツーリングに行くことがあれば、ルート作りの参考にしてほしい。

日並林道

屈斜路湖の北側に位置する林道。未舗装区間は16km。美幌峠(オンロード)とうまく組み合わせるのも良いと思う。

西側の半分強は林の中を進む平凡なグラベル。北海道の林道と言えば視界が林で邪魔されない開放的な景色を期待してしまうが、今のところ何も見えずあまり北海道に来た甲斐を感じられない。

ただ本州と植生が違う感じがする。木は白樺だと思うが幹が白く、葉っぱは青々としている。結果として全体的に本州の林のようなどんより感がない。今回はカメラを忘れ全てiPhoneで撮ったので、適当ながらちゃんと撮れてしまうが、普通のカメラで撮るにしても鬱蒼としてるわりに明るく、撮影しやすいのではないか。

東側は一転して景色が開ける。

どうやら牧場か畑のようで、同じ種類の植物が画一的に植えられ、草は綺麗に刈り込まれている。木を切り倒して土地を開墾し、明らかな自然破壊の上に成り立った極めて人工的な景色だ。しかし西側の自然豊かな林の風景よりこっちの方が見栄えは良い。

道道102号との合流直前は舗装路になる。とても綺麗な道だと思うが、特に観光道路というわけではない名もなき普通の白道だ。畑や牧場の関係者しか来ないだろう。きれいな道がきれいなのは当然として、普通の道もきれいなのが北海道のすごいところだと思う。

塘路広域林道

塘路湖の北側を東西に走る林道。未舗装区間19km。

塘路側(西側)はしばらく視界のない林が続く。

林間区間を超えると一気に草原が広がる区間に出た。Windows XPの壁紙の世界に来てしまったようだ。

遠くに放牧された馬が10頭ほど見えた。牧場のようだ。牧場と言いつつも馬が写真に写ってないことからもわかるように、土地の広さに対して明らかに馬の数が少ない。ここの馬はストレスとは程遠い環境で育っていることだろう。自分が家畜になることがあればこういう牧場で飼われたいと思う。

牧場の脇に何かの骨が散乱していた。太さからするとキタキツネには見えない。鹿か家畜だろうか。

昆布刈石展望台

その名の通り和人(シサム)とアイヌ人が昆布を交換していたという言い伝えにまつわる場所だ。

展望台というが構造物があるわけではなく、国道の脇道の見晴らしがいい場所を展望台と自称している。この脇道が5kmほどの未舗装路になっている。

一応、景勝地扱いされているが、観光資源があふれる北海道では人気がある部類とはいえず、美瑛や知床のように観光客が集まるような場所ではなかった。

展望台自体は地味そのものだが、ここへのアプローチはグラベルになっている。グラベルとしてみれば海と草原に挟まれた、かなり独特な景色だ。筆者は少なくともここ以外に日本でこんな景色は知らない。

この記事のこのセクションは時系列に並べているが、ここでパッキングがなくなっているのに気づいたかもしれない。これはもともとバイクパッキング旅行だったものの、後半は天気がぐずついていたので、急きょレンタカーを借りて車のツーリングに切り替えたためだ。いざとなれば雨の中でも走ったり野宿できる装備や気概があることは大事だが、筆者は楽な選択肢を取れる時は積極的にとるタイプだ。

フレシマ湿原

根室半島の付け根にあるフレシマ湿原という湿原があり、ここまでのアプローチがグラベルになっている。

目の前に海を見ながら湿原に囲まれたグラベルを走ることができる。かなり個性的な道だ。

実は最後は野鳥の会の私有地のため途中から行き止まりになっている。そのためここは残念ながらピストンになる。しかしそこを考慮してもあまりある魅力がある。国道からも遠くなく片道数kmのピストンなので、釧路に寄ることがあれば行ってほしい。

ここはもともとはただの湿原と草原だった場所を野鳥の会が寄付を元に私財で買い取ったものらしい1)渡邊野鳥保護区フレシマ。つまり、例えばラムサール条約で公的に保護された釧路湿原とは違うということになる。ついでに調べたところ野鳥保護区というのも、鳥獣保護管理法に基づく鳥獣保護区と違い、土地を私有地とするという力技で環境保護を図るものとのことだ2)野鳥保護区。野鳥への凄まじい熱量を感じる。

春国岱

フレシマ湿原のついでに紹介しておくと、ここから数km離れた場所にある春国岱も面白い。

春国岱は海流で流れて堆積された砂でできた砂州で、地図で見ると根室半島の付け根のそばに浮かぶ離島になっている。離島だが橋がかかっているため自転車でアクセスできる。中は湿地と原生林で構成され、市街地から近いにも関わらずほとんど手付かずのままの原生の風景が残されている、極めて特殊な場所になっている3)根室市春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター

自転車で行けるのは途中までで、基本的には木道を歩くことになる。自転車を置いて歩いてみよう。

その他

輪行

本職の出張で溜まったマイルが余っていたのでANAを使った。

ANAは輪行しやすい。自転車の扱いが(少なくとも客から見える範囲では)丁寧だし、サイズの制限も緩い。ANAが特別自転車にフレンドリーというより、単にサービスが良く、結果的に自転車にも甘いということだと思う。

ただ今回ちょっと残念なことがあった。自転車がX線のスキャナーに収まらないという理由で、輪行袋を開けたうえで自転車に取り付けていたバッグ類を全部スキャンするように要求された。言葉で言うのは簡単だが家で準備したパッキングをやり直す必要があるため時間がかかる。20分は使ったのではないか。いわゆるバイクパッキング状態で輪行する人は注意が必要かもしれない。

以前のANAの飛行機輪行でこのフルサイズの自転車用段ボールを持ち込んだことがある。当然通常のスキャナーには入らないので、大荷物専用のスキャナーに案内された。あのスキャナーがあればこんなことにはならなかったと思うが、どうしてこんなことになってしまったのだろうか。

セイコーマート

北海道ツーリングはセイコーマートに始まり、セイコーマートに終わる。

今回のツーリングの始まりのセイコーマート美幌鳥里店。

北海道といえばセイコーマートだ。セイコーマートとは北海道のローカルコンビニチェーンである。惣菜やホットスナックでオリジナル商品を多数展開し、コンビニ顧客満足度調査では2016年から2020年まで5年連続1位となっている4)JCSI日本版顧客満足度指数 第1回調査 詳細資料 – 日本生産性本部サービス産業生産性協議会。本州での一般的な認知はよく分からないが、旅行好きや自転車やバイクに乗っている人なら、知名度は高いのではないだろうか。

惣菜は特に美味しいわけではないが、サイズがちょうど良くて安い。自分はもう大人になってしまったので、この安さにいちいち感動できる感性を失ってしまったが、大学一年生の時に初めて北海道に来た時はすごく嬉しかった。

ホットシェフ(ホットスナックブランド)のフライドチキン。筆者が初めて北海道に行った11年前の時にはすでにあったはず。全国チェーンのコンビニのフライドチキンとは明らかに違う味がする。KFCに近い気がする。パッケージのダサさが良い。

筆者にとっては4年ぶりの北海道、すなわち4年ぶりのセコマになるが商品に大きな変化を感じた。プライベートブランドの飲み物が増えていたのである。正直セイコーマートにここまでの商品開発力があると思っていなかった。

特に緑ハイは味が濃くて美味しい。それもそのはずで、良くみたら緑茶ではなく抹茶ハイと書いてある。不味くなる直前まで濃くしているのではないか。コンビニのお酒で覇権を取れるポテンシャルがあると思う。セイコーマートブランドで筆者の住む名古屋で気軽に手に入らないのが残念だ。いつも焼酎を割る時は緑茶だったが、今度は抹茶割りを作ってみようと思う。

また店舗にもよるがワインの品揃えも多い。写真は霧多布の店舗だが、棚一つ使ってアルコールを陳列する狂気の品揃えだった。

話は変わるが気がかりなことがあった。北海道のコンビニといえば、数年前に比べてセブンイレブンがかなり店舗数を伸ばしていた。昔は北海道といえばセイコーマートかローソンだった気がする。その後、裏採りをしてみると、セイコーマートの店舗数の落ち込みとセブンイレブンの増加により、2020年時点でセイコーマートとセブンイレブンの店舗数の差は78店舗までに縮まっていた5)北海道コンビニ勢力図判明、「セイコーマート」と「セブン」の差は78店舗に。本州のセブンイレブン一強が進む傾向とは無縁の北海道と思われたが、そんなことはないようだ。

すじこ

筆者はすじこが好きだ。

しかし住んでいる名古屋とその周辺だとあまり売っていないおらず、カジュアルに食べられない食材の一つである。入手困難な高級食材であれば納得もするが、そういうわけでもない。なぜ元は同じ鮭の卵だったイクラとここまで明暗が分かれてしまったのか。

ところが北海道ではすじこが定番の食材となっているようだ。コンビニに行けばいつでもすじこ味のおにぎりが売っている。すじこが普通に食べれることが嬉しすぎて、コンビニに行くとお腹が空いてなくてもすじこのおにぎりを食べていた。ちなみに北海道だけでなく東北や北陸の一部地域でも、コンビニに置いてあるらしい。

回転寿司で2貫で200円台半ばだった。スシローは1貫150円なのでスシローより安い。

回転寿司で通年食べられるのも嬉しい。本州の回転寿司ではすじこは通年メニューではなく、寒い時期の季節メニューでしか置いてない(旬は10~11月らしい)。北海道に行ったらローカル回転寿司に行きべきというセオリーに従い、今回のツーリングでは2軒に行ったが、嬉しくてすじこだけで何皿か注文してしまった。

スーパーでもすじこがホールで売っていた。普通の田舎のマックスバリュの鮮魚コーナーである。北海道民は生筋子を買って家でいくらを自作するらしい。そのレシピは家ごとに家庭の味があるのだとか。

ちなみに相場として100グラム数百円とのことで、この写真は高いということになる。2021年は秋鮭の不漁で、筋子も高騰しているとのことだ。

References   [ + ]